和田に嫁いだお嫁さん
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舞鶴の伝説


■ 和田に嫁いだお嫁さん ■
和田に嫁いだお嫁さん

和田に嫁いだお嫁さん

むかしむかしのお話です。
今の舞鶴市和田の村に一人の娘さんが嫁入りしてきました。
その娘さんは、和田の村から海を挟んだ向かいの海からやってきたとの事でした。
海向かいの遠くの村からやってきたので、当然和田の村は知らない人ばかりですから、日が経つにつれ娘さんは海の向かいのお父さんやお母さんの事が恋しくなってきました。

海向かいの両親が住んでいる実家を思い出しては、朝や夕方に海辺にたたずんで
「この海を渡ることができたらお父さんやお母さんがいる家に行くことができるのに…。」
そう思うようになりました。

ある冬の朝の事、いつものように海辺に出てみると数日前から降り続いた雪が野山を真っ白にしたおかげで、海の向かいがいつもよりはっきりと見えました。
「この海さえなければ。」と思った娘は身体が勝手に海に向かって進み、気が付くと海に足を踏み込んでいました。
不思議なことに、さきほどまで波が打ち寄せていた海の一面が凍っておりました。

「これなら歩いて家に帰ることができる。」と娘さんは大喜び。
凍った海の上を足早に歩いて実家に帰ることができました。

娘の両親は、突然帰ってきた娘の姿を見てビックリし、娘に帰ってきた訳を聞きました。
しかし娘の両親は、「嫁に行った者は嫁入り先を一生出てはならん。」と言って娘を実家には入れませんでした。

お嫁さんは両親からきつく言われたので、泣く泣く和田の村の嫁ぎ先に帰ることにしました。
実家まで歩いていった凍った海を泣きながら嫁ぎ先まで帰る途中に一カ所だけ氷が解けた穴がありました。
その穴に気が付かず、運悪く娘は穴に落ちて死んでしまいました。
その海の氷が解けてできた穴は、娘が実家に向かう途中に小便をしたせいで氷が解けた穴でした。

和田の村に残った母親を亡くした赤ん坊は、毎日のように火のついたように泣いたそうです。
そういう事があったせいか、しょぼふる雨の日やアラレの降る日には、近くの乙栗(おとぐり)の鼻のあたりで赤ん坊の泣き声が今も聞こえるそうです。

それ以来、和田の村では海の向かいから嫁を貰うことをためらう様になったといいます。

和田の対岸ということは、青井や吉田なんでしょうか?

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