笛のきらいな殿様(小倉)
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舞鶴の伝説


■ 笛のきらいな殿様(小倉) ■
※笛のきらいな殿様(小倉)

笛のきらいな殿様(小倉)

 東舞鶴の小倉に若宮神社があります。地元の人たちからは若宮さんと呼ばれる神社の神さまは、笛が嫌いなんだそうな。それで村祭りの祭礼の時、振りもんと呼ばれる太刀振りと、田楽の踊りは奉納しますが、笛が入る祭囃子はあげないことになっているそうです。

 小倉の村の奥にはマサコ(真迫)とも城ヶ尾とも呼ぶ山がある。その山の頂上は広くはないが平坦になっており、昔の山城の跡だと伝えられています。ある時、この城の周りをぐるりと敵に囲まれたことがありました。しかし、頂上は平坦なものの切り立ったような急な山だったので、敵が何日攻めても落城させることはできませんでした。敵は最後の手段として夜討ちをして攻める事を決めました。

 敵は中ほどまで攻めたものの、あたりは真っ暗。山の上の城までどう登って攻めたら良いのか見当もつかず進むことが出来ませんでした。そのとき上の方からかすかに笛の音のようなものが聞こえてきました。真っ暗な中、その音を頼りに登って行くと、その音はやはり笛の音でした。こんな夜中に敵が攻め登って来る事はないだろうと、誰かが笛を吹いていたんでしょう。もしかすれば、城中の姫様が吹いていたのかもしれません。この笛の音を頼りの登って来た敵は、白の四方から城塞(じょうさい)にたどり着き、一斉に攻め込みました。そう大きくない城は、不意を突かれて防ぎようもなく落城してしまいました。

 城主、奥方、子女たちは家来に守られて、尾根伝いに隣の村の近くのふもとに命からがらたどり着きました。しかし、待ち構えていた何人もの敵に囲まれてしまい、あえなく最期を遂げてしまいました。その地が千原という場所。

 非業の死を遂げた城主は、小倉の村人にとっては大切な殿様でした。村の民は、お殿様の徳を慕い、怨念を慰めようと、家族ともども若宮神社にお祭りしました。落城のもとになったのが笛の音であった事から、今も社前では笛を吹かないそうです。

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