猿の恩返し(栃尾)
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■CONTENTS■
舞鶴の伝説


■ 猿の恩返し(栃尾) ■
※猿の恩返し(栃尾)

 むかし、栃尾(とちお)には数軒の家しかありませんでした。
その中で、お爺さんとお婆さんだけで暮らしている家がありました。
お爺さんは毎日朝早くから畑に行って畑仕事をしておりました。

猿の恩返し(栃尾)

ある日のこと、いつものように畑を耕していたら、畑の隅の草のかげから視線を感じたお爺さん。
見わたすと小さなサルが草のかげからお爺さんの事をじっと見ていました。

「あの子ザルは何を見とるんやろ?」
そう思いながらもお爺さんは畑仕事にせいを出しておりました。
お日様が沈みはじめ、あたりが暗くなり始めたころ、その日の畑仕事を終えお爺さんはクワをかついで家に帰りました。

あくる日も畑仕事をしていると子ザルは同じ場所からお爺さんの事をじっと見ていました。
その次の日も、また次の日も子ザルは同じ場所からお爺さんの事をじっと見ています。

お爺さんは子ザルに問いかけました。
「お前さん、そこから毎日見とるんは何でじゃ?」

子ザルは首をかしげてお爺さんの方を見ています。
お爺さんが「何か心配な事でもあるんかい?」と尋ねたら、うなづく仕草をした子ザル。
そして、うでまくらで寝る仕草をし、片方の手でお腹をさする仕草をしました。

「だれか病気で寝とるんかい?」と子ザルに尋ねると、子ザルは「ウンウン」とうなづくように頭を上下にふりました。

お爺さんはお腹に胴巻(どうまき:中に財布や小物を入れる事の出来る腹巻のようなもの)の中から腹痛(はらいた)の薬を一粒取り出し子ザルに渡しました。
「これは腹痛(はらいた)の薬じゃ。はよ帰って飲ませてやれ。」
嬉しそうな顔でお爺さんから薬を受け取った子ザルは、あっというまに山の中に戻って行きました。

その日、畑仕事を終えて家に帰ったお爺さんは、今日あった事をお婆さんに話しました。
「爺さん、ええ事したなぁ。」と喜んでくれました。

その翌日、いつものように畑を耕していたお爺さんの近くに子ザルがやって来ました。
嬉しそうに頭を何度もさげてお礼を言っているようなしぐさをし、爺さんの野良着の裾を引っ張る。
どうも、こっちに来いというようなしぐさなので、爺さんは「わかったわかった。」ともっていた鍬(クワ)を置いて子ザルの後をついていく事にしました。

子ザルはスタスタと歩いては後方を振り返り、爺さんがついてきてる事を立ち止まっては確認しながら先に進んでいきます。
爺さんは子ザルから離れないように腰を曲げながら後を追ってついていきました。

しばらく歩いたら、大きな木の下に穴があり、子ザルはその穴の中に入って行きました。
お爺さんも子ザルの後について穴の中に入くと、穴の奥には大きなサルがいて爺さんに向かって嬉しそうに何度も頭を下げました。

子ザルは、もっと奥に来るようにお爺さんの野良着の裾を引っ張ったので、お爺さんはもっと奥へとついて行きました。
奥に行くと、お酒とおいしそうなごちそうがいっぱい並んでいました。

子ザルを見失わないように小走りでついてきたお爺さんは少しのどがかわいてましたので、サルたちが注いでくれるサル酒をゴクリゴクリと何杯ものみました。
サルがよそってくれるごちそうも食べてお腹がいっぱいになり、サル酒のおかげで身体がポカポカとあたたまったお爺さん。
少し暑くなったので、「お猿さん達ありがとうな、そろそろ帰る事にするよ。」
そうお爺さんが言うと、サルたちはお爺さんの家まで送ってくれました。

お爺さんの家の前には、サルたちのお酒や木で編んだかごに入ったごちそうがいっぱい置いてあったそうです。

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