※ニショモン
むかし、三浜にニショモンという男がおりました。
身の丈は七尺(2.3メートル)を越し、足は一尺(30cm)を越えてるほどの大きな男でした。
ある日、年貢を船に積んで藩のお蔵へ運んだ時、役人がからかって
「お前は体ばかりどうせ力もそれほどない役立たずだろう。くやしかったら小脇に一俵ずつ米俵をはさんで歩け。それが出来たらその米俵をやろう。」
役人はそう言いました。
これを聞いたニショモンは、簡単に米俵をちょいちょいと一俵ずつ小脇にはさんで「それではごめん。」と帰ろうとしました。
蔵の役人はあわてて「今のは冗談だ。悪かった。米を持って行かないでくれ。」と謝りました。
またある日の事、年貢米を船に積んで田辺城に運んだあと、三浜に帰ろうとしたが海が非常に荒れだした。
年貢米を降ろして軽くなった船は荒れた海には弱く、なんとか平(たいら)まで漕ぎつけました。
船の帰りを待っている三浜の村のみんなのことが気になったニショモンは、三間(5.4メートル)の長さの船を背中に背負い、かいを杖替わりにして山を越え、三浜に帰りました。
船を背負ったニショモンが山から下りてくる姿を見た三浜の人たちは、たいそう驚いたといいます。
※ニショモンが履いていたという足袋が、今も残っているそうです。
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