みとじ
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舞鶴の伝説


■ みとじ(三浜) ■
みとじ(三浜)

みとじ(三浜)

むかしむかしのお話です。
現在の舞鶴市三浜に流れる宮ノ川の上流に、一の滝、二の滝、三の滝という三つの滝がありました。
その中のひとつ、三の滝には滝つぼがあり、そこにアワビの化け物が棲んでおったそうです。
そのアワビの化け物は『みとじ』と呼ばれておって、大きさは一抱えほどの大きさだったそうな。
みとじは滝つぼの中できれいな鯉に化けたりして、人が近くを通ったら「バシャーン」と音を立てて滝つぼから飛び上がっては気を引いておりました。
飛び上がった音に気が付いた村人が鯉を捕ってやろうと手を伸ばしたら、きれいな鯉から化け物に変わって手を伸ばした人を水の中に引き込んで食べてしまうって事じゃった。
そんな化け物がいる三の滝には村人はもちろんのこと、猟師さんも木こりさんも怖がって近づかなくなっておりました。

ある日、三浜の村にやってきた一人の修験者(山伏)が庄屋さんの家に泊まって夕飯をごちそうになっているとき、庄屋さんからこの話を聞きました。
「そんな化け物、わしが退治してやるわい。」
そういって翌日、修験者は滝に向かって出かけて行きました。

修験者が滝に着くと、渓流を囲む美しい緑や流れる水の音、滝の周りを飛び交う小鳥のさえずりが心地よく、化け物のことなどすっかり忘れて良い気分に浸ってました。
「バシャーン」と音を聞いた修験者がふと滝つぼに目をやると、きれいな鯉が泳いでおりました。
「きれいな鯉じゃなぁ。」と鯉を捕まえようと手を伸ばしかけた時に鐘の音が聞こえ、その鐘の音が「やめとけ、やめとけ」とも聞こえました。
気のせいか?空耳かも?と思い、もう一度手を伸ばすと、また「やめとけ、やめとけ。」と言ってるような鐘の音が聞こえました。
「もしかしたら、これが化け物の『みとじ』かも?」と修験者は気が付きました。

修験者は御仏の力を借り、経を長い時間唱え続け、やっとの事で『みとじ』を退治しました。
それから三の滝の『みとじ』はいなくなったとの事です。

いまでもこのあたりでは宮ノ川の上流の事を『みとじ川』と呼んでいるそうです。
また、海でおぼれて亡くなる人がいると「みとじが引っぱったんだ」といったりするそうです。

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